百ひろのこと
「赤黒くて、なんだか血に染まってるみたい、こんな百ひろは見たことないんだけど」
と、ある日お客様から言われた。
これは、イワシ鯨の百ひろ(小腸)。
長崎のお正月には、すえひろ、ベーコンと並んで外せないもの。
本来の百ひろは、ピンク寄りのこんな色を見かける。
これは、解凍した時の状態。
鯨の百ひろ(小腸)も個性がある、一様ではない。
鯨の性質プラス、真空冷凍保存において、色が赤黒くなる場合があるが
解凍すると、元に戻る。
長崎の百ひろ、当店の百ひろは、博多や他県の百ひろとは、味が違うと言われる。
それは製造方法から異なるが、企業秘密(笑)
昨日はイワシ鯨の百ひろが炊き上がったので、工場へ試食へ行った。
選別するたびに、職人は炊き上がった百ひろを1本ずつを取り出し
ひと切れずつ食べて味をすべて確かめる。
苦味があると、店には出さない。
百ひろは、中身が詰まってるのが上等、値打ちがあると言われる。
それはゼラチン質がぎゅーっと集まって、風味が増すから。
食べた時に、ぎゅっとつまった風味が、ふわ~と鼻に抜ける。
美味しいくじら、というのは、なんでもこの風味が鼻に抜けるという感覚がある。
中身が詰まった風味良い百ひろを作ることに、
職人から職人へ受け継がれるのを垣間見る。
イワシ鯨の百ひろは、本当に風味が良い。しっとりしている。
わたしは、ナガス鯨(南氷洋産)の百ひろか、イワシ鯨の百ひろをオススメするが
年末以外では、長崎でもなかなか市場では見ることはないと思うし、
居酒屋でも置いてあるところはあまり無いと思う。
ぜひ一度、お祝いの席などではお召し上りください。