クジラを巡る世界的論争描く、日本人監督初の本格ドキュメンタリー映画
「なぜわかり合えないのか?」「なぜ伝えられないのか?」
クジラは「ごちそう? それともカリスマ?」
昨日、佐々木芽生監督のトークイベントショーに行って参りました。彼女は、30年近くNYに暮らしていて、そこで肌身で感じたことを、捕鯨問題が世界の縮図だと捉え、なぜ日本は捕鯨を続け、世界の非難を浴びるのか?クジラとイルカを巡る国際論争をテーマに、世界へ向けて発信する長編ドキュメンタリー映画を制作中です。
太地町で実際に撮影されたドキュメンタリーの一部を20分見せていただいて、佐々木監督の想いを聞かせていただきましたが、私は呆気に取られ、自分の無力を感じました。。。。
わたしは狭い狭い中で、発信しているしかないんだなぁと。
佐々木監督もおっしゃっていたけど、現代のわたしたちは、自分達が知りたいもの、興味があるものをネットで検索し、それらを集めて満足し、見識が狭くなりがちです。
人は自分が知りたいもの、都合のいいものしか探さないし見ないし聞かないし、見えない場合もあります。
また、刷り込み教育があると「なぜ?」という疑問さえ湧かなかったりします。
また、事実が演出されパフォーマンスされると歪んだ事実が何となく幅をきかせます。
でも、欧米の方でもインテリジェンスのある方に、正しい情報が伝われば、「反捕鯨」というわけではないんです。
佐々木監督がおっしゃってたのは、まったくもって日本から有効な反論が聞こえてこないということ。
アメリカに住んで居れば、自然と反対側の一方的な情報しか入ってこないということです。
だから誤解も多いし、伝わってないし、実際対話がなされていない。
でもこれ、わたしたち日本人一人一人も、海外に行った時に、堂々とその反論、理由が述べられるでしょうか?感情的になって対話する方が多いような気がします。でもそこに、伝統や文化論を持ち込んでも、「日本の鯨の食文化は伝統なんです」は全く通じないそうです。
長崎は、日本で一番県民一人当たりの消費量が197.5gですが(全国平均は44.7g /平成20年共同船舶)それを守り続けて次世代に伝えていくことに必要があるの?と。
アメリカは伝統を壊していって新しい文化を創る価値観がある国だと。
また、反対の理由には以下の3つが主に挙げられてました。
1 クジラは欧米の方たちにとって、世界共通の財産でシンボルだという認識
2 鯨は全て絶滅しかかってると思っている
3 日本は違法で鯨を捕っていると思っている
これに加え、日本の有効な反論の情報がまったく入ってこないという事実。
これでは、わたしももしアメリカに生まれて住んで居れば、わたしもあちら側の立場だったかもしれません。
「牛や豚を殺して食べるのに、なぜクジラを言われなければいけないのか?」については、家畜は生産できる資源だと思っているからだそうです。クジラを殺すのに残酷だから、という言い分は、では何をもって残酷だというのか、「豚が生まれてから狭い空間の中で身動きできない状態」はでは残酷ではないのか? という監督の問いかけがありました。
犬を食べる国があります。もちろん私は犬は食べないけど、「食べるな」とは言いません。でもそれはわたしが犬をカリスマでありシンボルだと思っていたら答えは違うのでしょうか?
でも、ひとつだけ言えることがあります。
「グローバル化する」ということは、欧米のスタンダードがグローバル化するということなのでしょうか。
他国の価値観を一方的に押し付けられるのはおかしいことです。それが世界のスタンダードだと、なぜ決められなければいけないんでしょう。
佐々木監督が、捕鯨問題に世界の縮図を見るとおっしゃったことは、そこにあると思いました。
その為の対話を生むには、英語を話せなくてはいけません、日本のことも、欧米のことも知らなければいけません、海外に対話ができる友人も居れば良いでしょう。
これをわたしはやっぱり深く感じました。
中立の立場から、勇気を持ってこの映画に取り組んだ佐々木監督の想いや応援はこちらからお願いいたします。
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