ピロリーナの「今日もくじら日和」

美味しさと、想像と。

kouhaku06

 

「自分が食べてないものは薦められない」

 

かつて鯨肉の食わず嫌いだった私だけど、
今では鯨の加工商品を工場に発注して作ってもらう度に
毎回実物を見て、選別時に見て、食べて判断する。

 

くじらの肉は実際、中を開いて見ないとわからないものも多い。
一定の規格で原料は仕入れるが、工業製品ではないので一様ではなく中身は様々だ。

 

とても上物が出てきた時や、飛び上がるほど美味しかった時は
すぐお客様にお知らせしよう、と心が躍る。

 

でもイマイチだったときは、

 

「うん、なんかわたしは好みじゃないけど
好きなお客さんが要るかもしれない。この子見た目はイマイチだし
風味もそこそこだけど、悪い子ではない!」

 

という判断で、その状態や性格を伝える。

 

そういうことは当たり前であるけれど、伝えることは簡単ではない。

 

例えば「歯が悪いから、硬くないものをあげたい」
と言われることがある。

 

でも、どの程度の鯨肉を、その方が硬いと思うのか、柔らかいと思うのか
わたしはすぐにはわからない。

 

その人の立場になって考える、ということ。
想像をするということから始めることになる。

 

それは簡単ではないけど、作ったものをどんな状態でお客様が食べるのか
どんな風に使っているのかを、考えることがとても大切だと思う。

 

その使い道がなければ、どんなに美味しい鯨でも商品でも

 

いーらない!

 

と、なると思う。

ただ美味しいだけでは、ダメなのである。

美味しいとは、とっても主観的なんだもの。

 

about: pirolina
くじら料理研究・くじらの美味しい食べ方を提案。実家は長崎の日野商店。明治41年創業。幼い頃から鯨肉工場の匂いが苦手だったが、鯨屋の世界に入り、くじらの扱い方で美味しさが変わることを知る。二児の母。
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pirolinaの『喜び働く大人の背中はワンダーランド』『鯨食系女子』を含む、クジラソング3曲入りの計10曲。iTunes/楽天市場/amazon/タワーレコード/HMV等全国CDショップ、ネットショップ等
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