ピロリーナの「今日もくじら日和」

ノスタルジーとしての食

鯨の赤身を焼いて食べるなら、軽く表面をさっと炙って食べる方法がある。

ドリップは止まるし、肉は硬くならず、刺身の良さそのままで香ばしく味わうことができる。

鯨の赤肉は、背中側の肉であるか、胸側の肉であるか、スジが入っている肉かで、値段も美味しさも異なる。

面白いことに、ある日お客さんから「この鯨はやわらか過ぎて、昔食べたあの硬い鯨と違う!あの噛み切れなかった硬い鯨を食べたい!」と言われたことがあった。

一様にやわらかい鯨肉が良いと私は思っていたが、ノスタルジーを求めるお客さんにとっては、美味しさではなく、子供の頃、あの日食べた硬い鯨肉だったのだ。

その背景には、若き日の父や母が隣に居て、一家団欒の幸せな食卓があったのかもしれない。

それを思い出すのは、硬い鯨肉だった。

 

でもそのノスタルジーを求める鯨肉は、あと20年後には無くなってしまうだろう。

先祖の文化遺産で食べてきた歴史は必ず終わる。

「今」を作っていかなければ、未来は無いのだ。

 

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